ナンパ師が挑むメンズエステ|後編:世界の中心で愛を叫んだ獣

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中編:春風と共に

後編:世界の中心で愛を叫んだ獣 ←今回

 


 

 

Imagination means nothing without doing.
行動を伴わない想像力は何の意味も持たない。

– チャーリー・チャップリン

 

「だめ・・・・逃げてシンジ君!今のあなたが戦える相手じゃない!!!!」

 

「パターン青!!!これは、、、、写メ詐欺ババアです、、、!!!」

 

「終わったな」

「ああ」

 

信じられなかった。

夢であってほしかった。

 

 

黒服「じゃあ、一時間後にお迎えに上がります。」

IKKO「はぁ~い!」

 

 

言葉を失った僕を置いて、無常にも車は走り去っていく。

僕はこのババアと3,600秒も共に時を過ごすのか。そう思うと乾いた頬に涙が零れそうになる。

 

ふと、走り去る車の後方座席を見る。

どうやら、誰かが乗っているようだ。よく見ると、それは若い女性だった。

なるほど。効率を上げるために、この車で何人もの女性を送迎しているのか。

 

そんな事を思っていると、車に乗り合わせていた女の子と目があった。ギャル系、金髪の若く可憐な子だ。もしここに神がいたら、あの子をこのIKKOを変えてほしい。

彼女は唇の端に薄暗い笑みを抱え、その目は、明らかに僕を蔑んでいた。

 

「おまえ、こんなBBAでいいのかよwww」

 

そんな暴言を、投げかけられているような気持ちになる。

もう、爆死したかった。

今までの人生の中で、限りなく「爆死したい」と思った瞬間だった。

現実を受け入れられず、唖然としているまま、僕はIKKOさんを部屋へ案内する。

 

「あれぇ~お兄さん部屋綺麗なのねぇ~!」

その前に、誰だ、お前は。確かに、フォトショを全力で駆使すればあれは作れるかもしれない。

そんな事を思いながら。

 

「はぁ~い、じゃあお兄さんこれに着替えて~!」

IKKOに何かを手渡される

これは・・・?

嘘だろ

こんなので、俺のブツは隠し切れないぞ!?!?

 

慌てふためく僕を横目に、IKKOが告げる

「はぁ~い、じゃあちょっと私きがえるから~!覗いちゃだめだよ~!」

正直、爆殺しようかと思った。

爆殺しそうになる右手を収めつつ、そのままIKKOはシャワールームへ消え去っていく。

「終わった」

 

絶望の底で悩んでいたら、紐が垂れてきて

藁にもすがる思いでその紐を引いたら

地面に穴が開いて、更に深い絶望に落とされた

そんな気持ちだった

 

「エヴァ初号機は?」

「ダメです、完全に沈黙しています」

 

僕の脳内が騒がしくなる。

もうすべてがどうでも良くなった。

勢いで着替える。

うん、全然隠れてない。はみ出てる。

俺の息子はそんなのでは隠せない。

そうこうしているうちに、着替え終わった悪魔が戻ってくる。

恰好は、もう店に乗っていた恰好ではなく、普通にマッサージ師の恰好だった。

別に何の期待もしてない。

IKKOにセクシーな恰好された方が、気分を害する。

「はぁ~い、じゃあシートひくね~」

、、、ほう

ベッドの上に、シートをひくのか。

悪魔が、カバンから薄いシートを取り出し、ベッドにひく。

そのままうつぶせになるように指示される。

もう、どうにでもなれ。

「あ、そうだ~言い忘れてたけど~」

「ウチ、抜き無しだからぁ~」

なんだ、爆殺してほしいのか?

そんな事言われなくても無くて良い。

 

興奮する要素が全くない。

そんな事、心配する必要性が無い。

俺を誰だと思っている

ナンパ師だ。何人女を抱いたとおもっているんだ。

舐めるな。

そんな事を思いながら、施術がはじまる。

 

先ずは、足に軽くローションを塗られる。

その慣れた手つきに鳥肌が立つのを覚えながら。しかし、濁流に流される小枝の如く、全てをIKKOにゆだねる。

次に、太もも。

 

・・・・・あれ、意外と普通だな。

そんな事を思う。

少し、気になったので聞いてみる

 

「あの、普通のマッサージとメンズエステって何が違うのでしょうか」

「ん~あら、それ知らないの? 鼠径部に対するマッサージがあるかどうかよ~」

「鼠径部、、、、?」

「うん、そう。まあ、股間の付近よ~」

 

ほうほう。

鼠径部に対するマッサージか。それは楽しみだ。

そして、一点気になる事もあった。

それは施術師・IKKOの服装。

写真には、「胸元バーン + ミニスカ」の写真があったのに。

目の前のIKKOは、普通のマッサージ師の恰好をしている。まあ正直、セクシーな恰好をされるほうが気に障る。しかし、純粋に気になったので聞いてみる。

 

「お姉さん、服装、サイトで見たのと違いません?」

「ええ~?服装は自由なのよ~!」

 

その辺はラフなのね。あまり明確なルールは無いのか。

 

そのまま施術が続く。しかし、あろう事か、IKKOの慣れた手つきでローションにまみれの太ももをじっとりと触られている間、徐々に僕の頭の中にウジ虫のような思考が沸き始める。

 

交渉次第でセクシー衣装に着替えてもらう事も可能なのか?

 

この言葉を発して良いのか。

この言葉を発した途端、僕のプライドは地に堕ちる。

野生動物以下のゴミ。ヒエラルキーで言えばタマムシとゴミムシの間くらいにまで落下するだろう。

しかし、徐々に太ももの付け根にまで伸びるそのマッサージに快楽を覚える。

 

 

つい

つい、口がすべってしまう。

 

「IKK,,,お姉さん、サイトで見たセクシーな服に着替えて頂く事は可能ですか?」

「ええ~!?アタシのエッチな恰好みたいの~!?もうこのすけべ~笑」

 

爆 殺

 

その単語が頭をよぎる。

限界だ。

この世界を良くするために、今宵、俺は、この魔獣を爆殺する。

 

「いいよ~ん、着替えるからまっててね★」

 

危うく殺生寸前のところで、魔獣がシャワールームへと消えていく。

危なかった….

しかし、施術師の服が交渉次第とは。意外過ぎる。というか謎すぎる。

どんなシステムなんだ・・・・

 

「おまたせ~★」

 

魔獣が戻ってきた。

ほう・・・

意外と胸、あr・・・

 

いかん!

俺は何を考えている。落ち着け。こんな女に欲情するなど、言語道断。日本男児の恥としれ。

 

IKKOはその肢体で、再びマッサージを開始する。施術は太ももを終える。

 

「は~い、じゃあ鼠径部はじめるね?仰向けになって~」

 

あ、仰向け!?

このパンツであおむけに!?

見、、、見えてしまう、、、、

、、、まあいい。見せる相手はIKKOだ。

ほら。好きなだけ拝むが良い。

 

そう唱え、仰向けになる。

「は~い、じゃあ始めるね~」

IKKOが、自分の太もも、そしてその付け根にオイルを塗る

 

そ、、、

そんな、、、、攻める!?

そんな事を思った矢先

指が、キンタマと尻の間に、滑りこんでくる

 

「っ!?!??!」

 

声が出そうになる

必死に抑える

そしてもう一度

 

ヌルっ

 

「っつ!?!??!?!」

これは、、、、、なんだ!?!?!

 

ヌルヌルヌルっ

 

思わず下をのぞき込む。

すると、、、、

 

俺の股間が、元気になりかけている、、、!?!?

 

マズい・・・・このままでは・・・・

意識が・・・

 


 

「いけない!?」

「神経接続をカット!このままでは、、、、汚染されてしまう、、、」

「ダメです!反応ありません!」

「シンジ君!??!」

 

頭の中でサイレンが鳴り続ける

ヌルっ

「っっひゃ??!」

情けない声と共に、体が跳ねる。

 

「初号機の精神汚染、気圏域に突入」

「このままでは、、、人の形を保てなくなる、、、」

 

「終わったな」

「ああ」

 

ヌルっ

 

「っっひゃん!?!?!???!」

 

ヌルヌルっ

 

「あっssあっssアスアスアスーー!!!!」

 

IKKOのヌルヌルになった手が、仰向けになった僕のキンタマと尻の間に、幾度となく滑り込んでくる。

その度に僕は電気ショックのように体を痙攣させる。

 

耐えられない。死にたい。

しかし・・・これは・・・・

 

気持ちいい

 

ギンギラギンを抑える事が出来ない。

 

どれだけの時間が経ったのだろうか。

僕の股間から、我慢の汗が噴き出ているのが分かる。

 

「じゃあ四つん這いになってー」

「は、はい///」

 

そこに、ナンパ師のんちゃまの姿は無かった。在るのはただ、ゴミムシ以下の存在。IKKO激似のババアの施術に心を躍らせる、悲しい生命体だった。

 

まだ痙攣の少しのこる足を必死に開き、僕は四つん這いになる。

 

「お願いします///」

「はいよっ!!!」

 

ヌルヌル

 

「それそれ!!」

「ヒャンヒャン」

 

ヌルヌルヌルルルル

 

「それそれそれ!!!」

「アーアアーーーーモットーーーー!!!!!」

「どんなけーwww」

 

僕は四つん這いになりながら、生まれたての小鹿のように四肢を震わせる。叫び声も止まらない。

 

もっと・・・・

もっと・・・・IKKOさんに鼠径部を触ってほしい・・・・

僕は心からそう願った。時ヨ、トマレ。

 

「はい。おわり~!」

 


 

送迎車がやってくる。

後部座席を見ると、先ほどのギャルがまた乗り合わせていた。

 

「あなた・・・そう。”超えた”のね。」

彼女の瞳はそう言っているようだった。自信に満ち溢れた顔で、僕はうなずく。

 

IKKOは去っていった。

 

雪は、しんしんと降り積もっていた。

まだ鼠径部に彼女の温かい掌の温もりと、ローションのしっとりとしたうるおいを残しながら。

僕は、その車を見送った。