海賊と呼ばれたナンパ師|東京納涼船で「船内セクロス」の夢を、現実にーー

2018年、冬

寒さの厳しい地方都市。

 

時刻は終電に近い。

人影もまばらだ。

 

すると、全天候型のアーケード街に二人の男の人影。

 

「声の掛け方」「連れ出すまでのポイント」といった単語が聞こえてくる。

 

彼らは、ナンパ師だ。

 

1人は30代ほどの浅黒い男。

1人は20代だろうか。韓国風の正統派イケメン。

どうやら、30代の男がナンパを教えているようだ。

 

まあ、見てろ。」浅黒い男がそう告げる。

 

彼らの前方に、女の子が一人歩いている。

俊敏な動きで浅黒い男が間合いを詰め、女の子に話しかける。

 

最初は警戒していた女の子も、徐々に笑顔が見え始める。

 

二人の話が盛り上がる。

 

そして、数分の時間も置かずに、二人は夜の闇に消えていく。

 

その姿を、呆気に取られた表情で見つめるイケメン。

 

….こんな事が可能なのか

 

彼の心は、驚きで満たされた。

闇夜へ消えていく彼の背中を、羨ましい気持ちと恨めしい、複雑な気持ちで見守る。

女の子と比較してなのか、彼の自信の表れ、なのか。その背中は大きく見えた。

 

よし。

僕も、やってみよう。

 

のんちゃま」と呼ばれるナンパ師の背中を見つめながら、後に「ダニエルReji」と名を変える彼は、そう心に誓った。

 


 

2019年、夏

 

ふと、スマートフォンに目を落とす。

 

僕が数年前に「のんちゃま」と言う名前で登録したオフパコ用Twitterアカウントは、皮肉な事に一件のオフパコ依頼も無いまま、フォロワー6,400人超えの大御所ナンパ師アカウントへ育っていた。

 

長期でナンパのイロハを教えた弟子のひとり、ダニエルも今や立派なナンパ師。

師匠の事は忘れ、気の合う同世代の仲間を作り、日々街に挑んでいる。

 

どうやら、彼は遠征に赴いた東京でかなりの成果を上げているようだった。

・弾丸即
・くるくる2即
・また、くるくる2即

 

目覚ましい結果を残す彼を見ながら、ふと半年前を思い出す。

メッセージの履歴を見ると、当時のやり取りをみつけた。

 

さっきの連れ出し、本当に凄かったです。何を話したのか参考にしたい。今度、詳しく教えてください。今から僕もソロで戦います。

 

素直な彼のメッセージに、思わず微笑みそうになる。

 

弟子の成長は、自分の成長よりも遥かに早い。

嬉しいものだ。

 

 

そう思い外を眺めていると、スマホがメッセージを受信する。

 

ダニエルからだ。

 

久しぶりの弟子からの連絡に、心が躍る。

 

 

さあ、今日はなんの話が出来るんだろう。

 

 

 

 

 

 

Yeaaaaaaaaaのんちゃまサン!!! 昨日はクルクル2即決めたのに性欲がおさまりまセン!!! 今日、納涼船の船内で即を決めたいデーーース★ 暇だったらコンビしまShow★Wow!!!

 

 

…どうしてこうなった

 


2019年、夏

舞台は、蒸し暑い東京の熱帯夜

時刻は納涼船出航の30分前。笑顔の人が多い。

 

「ダニエル、もうついた?」

 

No!まだ休んでいます!

 

はよこい!?

 

 

なんという男だ。師匠を平気で30分待たせるとは。

出航のギリギリに合流し、船に乗り込む。

 

納涼船の王道は二つ。

・船内で多くバンゲをし、後日しっかりと準即で仕留める
・イケそうな子をホールドし、そのまま連れ出す。

 

さあ、今日も王道に則ってナンパを…

今日は船内でキメたいデーース!!

 

え?

 

何を言っているんだ?

 

「いや、船内って無理だと…まずそんな場所が….」

 

船内即したいデース

 

あ、はい。

 

出航の汽笛が、東京湾の夜空に響き渡る。

さあ、ゲームの始まりだ。

 


 

先ずは即れそうな場所をさがしまショウ!!!!

 

(そんな場所あるんかいな…)

 

確かに、最近は色々な場所で即を決めるナンパ師が増えている。

 

海で「テント即」をキメる

カラオケで「カラ即」をキメる

クラブで「トイレ即」をキメる

しまいには、他のナンパ師のパレスで即を決める事(とあパレ即やngnのkyoパレ即が有名)や、味噌の大御所は「青空即」という謎の必殺技を使ったりする。

フリーダム過ぎる界隈。

 

しかし東京湾納涼船はさすがに、、、そう思いながら船を探す。すると…

 

※イメージ

Oh!!!このシャワールームは使えそうデス!!

 

…まあ確かに、いけそうではある。

高揚気味にデッキに戻る。すると、かなりの美女二人組を発見する。

 

すかさずダニエルが話しかける。

5分程度ダベった段階で、セパりたい気持ちを抑えられなくなったダニエルが女の子同士の間に身体をいれようとする。

しかし、船の揺れで上手く立ち回れない。まるでタップダンスを踊るかのようにふるまうダニエル。

ここではセパ打診が通らずに破綻。

 

しかし、「船内即をキメてやる」というゴールに向かい、今取るべき行動を的確に遂行出来ている弟子の姿を見ると、成長を感じる。

 


 

最上階デッキに上がる。

 

湿った東京湾の風を全身に受けながら外を見ると、レインボーブリッジがギラギラと輝いていた。

ふと横を見ると、こちらをじっと見つめる浴衣の女の子が。

 

Oh、あの子刺さってマス

ダニエルが距離を詰め、女の子と話す。

 

しかし残念なことに、よく見ると女の子は3人できているようだった。

こちらは2人。さすがに2:3では分が悪い。早々に放流する。

再度フロアを変える。

 

すると

目の前に、可愛い子と、ブスの二人組が。

 

軽そうだけど、さすがにコレはケンカになっちゃうな….

 

そんな事を考えながら横を通りすぎようとすると

 

お姉さん!

 

なんと、ダニエルが話しかける。

可愛い方に。

 

や、やりやがった!?

 

“ゴールを明確化し、そこに至る最短の道筋を考えろ。”

確かに、半年前、そんな事を教えたか。

仮に師匠を踏み台にしようとも美女との即を狙いに行くその姿勢に感嘆を覚え、泣きそうになりながらブスを担当する。

 

しかし、この子はセパれそうだ。

の「ちょっと船内を探検しようよ

ブ「うん、いいよ

アッサリ和風のキノコパスタくらいあっさりと打診を通し、船内の階段を下に降りる。

 

手繋ぎもノーグダ。これは、、、いけるか?

シャワールームの前に到着する。

 

※イメージ

 

ここ特等席なんだけど、よかったら特別に予約したから入ろう?

 

やだ!

 

はーーーーーーーーーーいっ!!!!!!

 

色々と限界だったので、そのまま上に戻る。

え?お前はやくね?」という目で見つめるダニエルに放流の合図を送る。

 

ーーーー

船を徘徊する。

すると、丁度良い感じのスト値の女の子二人組を見つける。

 

なれた動作で話しかける。

もう何を話していたのかは全く覚えていない。

ちょっとお酒取り行こうよ!

女の子のコップの中にはまだ溢れんばかりのお酒が入っているが、なぜかこのダニエルの打診が通る。

ダニエルと浴衣女子が、お酒を取りに視界から消える。

僕は担当子と必死に和む。

和む。。。

和む。。

和む。

 

いやダニエル帰ってこんやんけ!?

セパるのうまいな!?

 

 

10分程担当子と和んだところで、ふとムラムラする。

 

「….即るか」

 

ダニエルはさっきのシャワールームからもう出たのだろうか。

そんな事を思いながら、シャワールーム即を狙う為に階段をおりる。

 

人気の無い最下部に女の子と2人きりになる。

 

手を繋ぐ。

 

グダは無い。

 

これは、

まさか、

 

イケちゃう?

 

浅黒い30代が、納涼船で結果を残しちゃう?

 

雄々しく勃ちあがりそうになる息子をなだめ、例のシャワールームの前に到着する。

 

※イメージ

すると

女「ヤダー!

先程ダニエルと消えたハズの女の子が、シャワールームから逃げてくる。

 

「まさか、、、、」

 

そこを見ると

 

 


結果、二人とも破綻して再度デッキに出る事になった。

 

すると、デッキで最初に和んだ3人組と目が合う。

話しかけたい気分はやまやまだが、2:3の状態では勝負が見えない。

 

残念だが、ここはスルーだ。目の前を通り過ぎる。

 

そのとき

 

リーダ風女子が言った

 

この子、ダニエルの事カッコイイって言ってたよ。

 

恥ずかしそうに俯く女の子。

ダニエルがその女子に急接近し、腰に手を回す。

最初は警戒していた女の子も、徐々に笑顔が見え始める。

 

二人の話が盛り上がる。

 

そして、二人は闇に消えていく。

 

女の子2人と、師匠を残して。

 

その姿を、呆気に取られた表情で見つめる僕。

 

ナンパの中では禁忌とされている、3人のうち1人だけど連れて行く行為。

それを、師匠に対して。

 

「….こんな事が可能なのか」

 

彼の心は、驚きで満たされた。

闇夜へ消えていく彼の背中を、羨ましい気持ちと恨めしい、複雑な気持ちで見守る。

女の子と比較してなのか、彼の自信の表れ、なのか。

 

その背中は大きく見えた。

 

 

ーーーーーーー

 

熱帯夜の東京の夜の街。

 

人気もなく、街頭も少ない渋谷区の駅に降り立つ。

 

ダニエルのセパも結局、時間が足りずに破綻してしまった。

 

結局、僕たちは納涼船で一切の結果を残す事が出来なかった。

 

下船してからというものの、ダニエルは心を失った猫のようになってしまった。

 

何も会話が無いのも寂しいなと思っていると、ナンパ師御用達のラジオ kyoキャスが始まった。

取り敢えずスピーカーでkyoキャスを流しながら、街を歩く。

 

いや~マジで性病はグダですよね!!!

どうやらkyoは性病になったらしい。

ざまあみろ。

 

しかし、ダニエルはまだ心を失ったまま何も言わない。

ちょっと笑顔で怖い。

 

なんとなく、kyoキャスに質問を投稿してみる。

 

”のんちゃまがオフパコ依頼来ないの、なんで?”

 

ん~??お前みたいなナンパ狂にオフパコ依頼くるわけねーだろww

スピーカーから大音量で僕の悪口が流れる。

ほら、関西のスト勢とかは”人生楽しいぜ!”感出てるじゃないですか。のんちゃまには、それが無いよね。

のんちゃまはな、セクロスと金しか興味ないですって感じが全面に出てる

ナンパ機械だもん。誰も機械とセクロスしたくないわwww身の程を知れwwww

ちなみに俺はオフパコしたけどなww ん~~??聞こえてるかぁ~~??www

止まらない、kyoさんからの悪口とマウント。

 

 

すると、目の前からタイトスカートに身を包んだ女性が現れる。

 

距離、5メートル。

急いで距離を詰め、反射的に声を掛ける。

 

お姉さん、今テキーラ飲みたいって小さい声で言いませんでした?

え? ああ、心の声出ちゃってました?笑

 

女の子をナンパする僕

それに応答する女の子

スピーカーから流れ続ける、僕に対する悪口

心を失ったナンパ師

 

皆違って、みんな良い。

僕たちはこの狂った街で、いつまで踊り続けるのだろうか。

 

ナンパ小説
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