変なナンパ師図鑑:42歳と真剣交際するオタク君の話

俺の弟子に、オタク君(現:早口大学)という男がいる。

名前の通り根っからのインキャで、学生時代の趣味は遊戯王。高校では「脱北・朝鮮人」みたいなあだ名を付けられ、かなり凄惨ないじめも受けていた。当時の写真を見ると、確かに栄養失調気味で、今の彼しか知らない人間が見たら同一人物だと分からないと思う。

 

ただ、オタク君は別にスペックが低い男ではない。顔も割とイケているし、大学にも入ったし、就職もした。普通に生きようと思えば、たぶん普通に生きられた。

問題は、なぜか人生の節目で毎回「お前そっち行くの?」という選択をすることである。

▼ 彼の人生(概略)

 

3年間、テントと電灯を任された男

大学では文化祭実行委員に入った。インキャ脱出としては悪くない。しかし彼は早口で、本人は普通に喋っているつもりなのに周囲は何を言っているのか全然分からない。

結果、会議や調整ごとではなく、人と会話する必要の無い「テント設営と切れた電灯の買い替え」を任された。しかも1年ではない。3年間である。 実行委員側も途中から「あいつにはテントをやらせておけ」となったのだと思う。そして大学は3年で中退した。

 

7000万円を飛ばして、翌日HPから消える

大学中退後は不動産会社に就職した。会社のホームページで「私の尊敬する人はXXさん(社長)です!」というインタビュー記事を掲載された挙句、名刺を自腹で作らされるような、なかなか筋金入りのブラック企業である。

ここでも普通に働いていれば、普通に給料をもらえたはずだった。ところが契約でミスをして、会社に7000万円の損害を与え、九州へ左遷された。

さらに翌日には、会社のホームページから彼の写真が消えていた。仕事が早い。よほど辞めてほしかったのだろう。

そんな彼がナンパ界隈に入ってきたのが2017年頃。それからもう10年弱いる。まともに生きる選択肢があるのに、わざわざナンパ界隈に10年近くいる時点で、まあ一種の病気である。

 

20代ではなく、42歳と真剣交際する

オタク君は見た目も悪くないし、ナンパもできる。彼の実力なら20代前半の彼女を作ることも十分できたと思う。

なのに、42歳の彼女を作った。

 

一発交尾して終わりなら「何してんねんw」で済む。ところが彼は本気で付き合い、親への挨拶まで行った。そこでまた早口が炸裂する。かなり年下の男が娘の結婚相手として現れたうえ、何を言っているのかよく分からない。相手の父親に猛反対され、最終的に破局した。

破局後はさすがに落ち込んで自暴自棄になり、ストナンして若い女を捕まえる生活に戻った。その流れで若い女を妊娠させ、中絶費用(20万円)が払えず、俺が全額払うことになった。

 

「イエーイ、僕って面白いやつでしょ?」

彼を見ていると、能力がないから人生がおかしくなったわけではない。普通に仕事をして、普通に若い彼女を作って、普通に結婚するルートだってあった。

でも、それでは誰からも注目されない。

オタク君の特技は、人より早く喋れることくらいである。しかし早口では承認も注目も得られない。だからなのか、人生の要所要所でわざわざ変なカードを切る。

「イエーイ、俺って面白いやつでしょ?」

 

本人が意識しているかは知らない。でも大学でも、会社でも、ナンパでも、恋愛でも、ずっとこれをやっている。そしてその奇行の積み重ねによって、結果的に本当に面白い人生になってしまった。

コラム
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